──水の中を支配しているのはマーフォークかもしれないが、カバは権威というものにあまり敬意を払わないんだよ。
クリーチャータイプにカバなんていたのか。
そう思うのも無理はないし、おそらく自然な反応だろう。
何故ならMTGにクリーチャータイプ:カバ/Hippoを持つクリーチャーはわずか二種類しか存在しないからである。よくサブタイプ変更で生き残っていたものだ。
その二種が登場したのもビジョンズとウルザズサーガという古い時代のものであり、どちらも目立った効果を持っているわけでもない。《探索するフェルダグリフ/Questing Phelddagrif》の能力で出てくるカバトークンの方がまだいくらか知っている人がいるレベルである。
さて、今回紹介するのは、その二種しかいないカバのクリーチャーの片割れである《猛き雄カバ/Bull Hippo》である。
地味に三種類ものイラストが出ていたりするが、そのうち基本セットのものではマーフォークに対しての言葉が書かれている。
それを証明するかのように、このカバが持っているキーワード能力は島渡りである。
緑のクリーチャーだというのに島渡りを持っているのは少々違和感があるかもしれないが、これは色対策サイクルのカードであるため。ちなみに、現実のカバも水の中を渡るのは相当早い。陸上の熊も相当速いことで知られているが、それとタメを張れるレベル。
さらに言うとアフリカで野生動物による被害が一番多いのはカバだという。子どもを守る時は特に強い!! ライオンだって倒しちまうんだぜ!!
3/3というサイズと島渡りを持っているため、リミテッドで青を使う相手と当たった時は非常に頼れるアタッカーとして運用することが出来る。
4マナで3打点なら飛行でも十分恐ろしいのだが、島渡りならば飛行でもブロック出来ないのだ。恐ろしい速度で相手のライフを減らすことが出来るだろう。
だが、残念ながら構築での島渡りは完全にマーフォークが主権を握ってしまっている。カバにもロードが大量に収録されれば少しは状況が変わるかもしれないが、もしそうなったとしても《猛き雄カバ/Bull Hippo》の出番はないだろう……。
……以上である。
無駄口を叩くことには定評のある山吹ではあるが、いくらなんでも島渡りを持つだけの実質バニラについてこれ以上語るのは無理がある。これでも十分頑張った方だと賞賛されてもおかしくはないだろう。
ただまぁ、マジックにカバという存在があることを知ってもらえるという意味はあったかもしれない。いつかロクソドンのように種族でカバが扱われることを祈ろうではないか。
このように、マジックでのカバの扱いは少々残念なものであることは否めない。
けれども、ガルパンファンにおけるカバの扱いは決して悪くないのだ。
ガルパンでカバと言えば……そう、思いつくのはたった一つしかないだろう。
カバさんチーム・Ⅲ号突撃砲……今回はマジックとガルパンを繋ぐ線の一つであるこいつについて解説をさせていただきたいと思う。
Ⅲ号突撃砲──通称三突とは、歩兵部隊を支援する為にⅢ号戦車をベースに開発された、ドイツの突撃砲である。
突撃砲とは自走砲の一種で、厳密には戦車とは少々異なるのだが、そこら辺の区別は相当曖昧である。無駄に区別が細かい理由はドイツの役所仕事の都合だとか。
前述の通り歩兵部隊の支援のために作られたものであるため、対戦車戦闘を意識はされていなかった。そのため固定砲塔を用いており、対戦車戦闘での機動戦に置いて必須である回転式砲塔はついていない。
しかし固定砲塔故に被弾し辛い低フォルムと高い生産率を誇っており、第二次世界大戦中のドイツにおいて最多の生産数を誇っていたりする。
だが、大戦中期以降は対戦車戦闘も多くなっていき、突撃砲の本来の使用用途からはズレることも増えていった。
しかし、三突は長砲身の75mm砲を搭載して戦車戦でもそのまま用いられるようになった。
本来戦車戦闘には向かないはずの固定砲塔だったが、その高い攻撃力と、皮肉ながら後期のドイツは突撃砲を活かしやすい防衛戦が増えたことなどから、かなり長期に渡って親しまれてきた。
ドイツで生産された車両だが、他の国に供与したものもあるため、ドイツ以外の国でも使用されたことがある。
ブルガリアではドイツから供与された三突を用いた部隊を形成したが、使われたのはブルガリアが連合国側に寝返った後の対ドイツ戦である。なんとも皮肉なこととなった。
フィンランドにも供与しており、継続高校の名前の元ネタである継続戦争にて使用された。フィンランドの主力として、ソ連戦車を多数撃破した。
生産数が多いだけあって、他にも多数の国に供与したり鹵獲されたりしている。
歩兵支援のために生産されたものであること、高い攻撃力と防御力を持っていたこと、歩兵の盾になることも多かったなどのことから、当時のドイツ歩兵部隊からは相当親しまれていたようである。大戦後期ではドイツ軍の中でどの部隊で運用するか争いが起きたほどであるとか。
ガルパン世界では大洗女子のカバさんチームが使用する車両として登場。
様々なバリエーションが存在するが、作中で使われるのはF型。最終形式であるG型の一個前。ちなみに基本的に知られている三突と言えばG型なので、F型は少々マイナー。
前述の通り、厳密には戦車ではないのだが戦車道規定には反していないらしい。
初期の大洗女子が所持する車両の中では数少ないマトモな戦力であり、メンバーであるカバさんチームが(みほと優花里を除く初期大洗面子の中で)比較的戦車戦に慣れる事が早かったこともあって、初期から大洗女子の頼れるアタッカーとして活躍し続けている。
現実世界でもそうだったように、ガルパン世界でのⅢ突も低い車高を生かした待ち伏せ作戦にて戦功を挙げることが多い。
練習試合・聖グロ戦では住宅に紛れた待ち伏せによって一両を撃破。しかし目立った改造によって位置がバレてしまい、その後撃破されている。以降、速攻で元に戻していた。
一回戦・サンダース戦でも森林の中に隠れながらの狙撃によってM4シャーマンを撃破。この辺りで三突の強みを理解してきていることが分かる。
二回戦・アンツィオ戦では三突にならって開発されたセモヴェンテとの鍔競り合いを演じた。激しい戦闘の末、最終的には相打ちとなっている。
三回戦・プラウダ戦では本領を発揮。雪の中に隠れて相手のフラッグ車を撃破、勝負の決め手となった。
決勝戦・黒森峰戦ではその火力を活かして山頂から敵車両を2両撃破している。川の中を渡っている時は固定砲塔故の悩みを漏らしていた。残念ながら超重戦車マウスには至近距離からの砲撃すら跳ね返され、撃破されてしまった。
本編において大洗女子の火力役として非常に重要な役割を担っており、単純な撃破数であれば主人公車・Ⅳ号より多い。
低い車高を生かした待ち伏せ作戦と大洗の自在な戦い方が噛み合ったが故の戦果とも言えるだろう。
劇場版においても、やはり待ち伏せによる撃破が非常に多い。
エキシビジョン、大学選抜戦においての撃破は全て待ち伏せによるものであり、総4両を撃破している。
ただ、固定砲塔故の弱点も同時に披露しており、CV33ターン別名ナポリターンによって機動戦を仕掛けた時はあっさりと対処され撃破されてしまった。
いくら みほの指揮能力が高いとは言っても、そもそも戦車を撃破出来なければ意味がないわけで、その点で相手車両を撃破することが出来る三突の重要度の高さは言うに及ばない。
また、カバさんチームの面子が最初から軍事に対して造詣が深かったのも、初心者が多い大洗においては貴重であっただろう。
総じて大洗女子の火力役に相応しい活躍をしており、初期から最後まで常に頼れる車両であった。
いかがであっただろうか。
もしも盤面で 《猛き雄カバ/Bull Hippo》を見かけることがあれば三突の勇姿を……うーん……《ホタル/Firefly》並に現代のマジックの盤面で見かけることはないかもしれないが、今後マジックにカバが追加される可能性は十分あるので、もしカバのクリーチャーが追加されたら三突のことを思い出してもらいたいものだ。うん。
こんなところにも、マジックとガルパンを繋ぐ線は存在する。
もしかしたらやはりガルパンは実質MTG理論は本当に証明できてしまうのかもしれない。
その理論を実証するため、次回もまた、私はマジックとガルパンを繋ぐ線というものを模索していく。
それではまた、次回の記事にて。
・過去作
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその1 《ホタル/Firefly》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608040116537503/
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその2 《灰色熊/Grizzly Bears》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608070214417100/
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608150130117645/
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその4 《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608200134258316/
ゼクスのカードから学ぶガールズ&パンツァーその1 《猛進する重戦車センチュリオン》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608231845359499/
Bull Hippo / 猛き雄カバ (3)(緑)
クリーチャー — カバ(Hippo)
島渡り(このクリーチャーは、防御プレイヤーが島(Island)をコントロールしているかぎりブロックされない。)
3/3
クリーチャータイプにカバなんていたのか。
そう思うのも無理はないし、おそらく自然な反応だろう。
何故ならMTGにクリーチャータイプ:カバ/Hippoを持つクリーチャーはわずか二種類しか存在しないからである。よくサブタイプ変更で生き残っていたものだ。
その二種が登場したのもビジョンズとウルザズサーガという古い時代のものであり、どちらも目立った効果を持っているわけでもない。《探索するフェルダグリフ/Questing Phelddagrif》の能力で出てくるカバトークンの方がまだいくらか知っている人がいるレベルである。
さて、今回紹介するのは、その二種しかいないカバのクリーチャーの片割れである《猛き雄カバ/Bull Hippo》である。
地味に三種類ものイラストが出ていたりするが、そのうち基本セットのものではマーフォークに対しての言葉が書かれている。
それを証明するかのように、このカバが持っているキーワード能力は島渡りである。
緑のクリーチャーだというのに島渡りを持っているのは少々違和感があるかもしれないが、これは色対策サイクルのカードであるため。ちなみに、現実のカバも水の中を渡るのは相当早い。陸上の熊も相当速いことで知られているが、それとタメを張れるレベル。
さらに言うとアフリカで野生動物による被害が一番多いのはカバだという。子どもを守る時は特に強い!! ライオンだって倒しちまうんだぜ!!
3/3というサイズと島渡りを持っているため、リミテッドで青を使う相手と当たった時は非常に頼れるアタッカーとして運用することが出来る。
4マナで3打点なら飛行でも十分恐ろしいのだが、島渡りならば飛行でもブロック出来ないのだ。恐ろしい速度で相手のライフを減らすことが出来るだろう。
だが、残念ながら構築での島渡りは完全にマーフォークが主権を握ってしまっている。カバにもロードが大量に収録されれば少しは状況が変わるかもしれないが、もしそうなったとしても《猛き雄カバ/Bull Hippo》の出番はないだろう……。
……以上である。
無駄口を叩くことには定評のある山吹ではあるが、いくらなんでも島渡りを持つだけの実質バニラについてこれ以上語るのは無理がある。これでも十分頑張った方だと賞賛されてもおかしくはないだろう。
ただまぁ、マジックにカバという存在があることを知ってもらえるという意味はあったかもしれない。いつかロクソドンのように種族でカバが扱われることを祈ろうではないか。
このように、マジックでのカバの扱いは少々残念なものであることは否めない。
けれども、ガルパンファンにおけるカバの扱いは決して悪くないのだ。
ガルパンでカバと言えば……そう、思いつくのはたった一つしかないだろう。
カバさんチーム・Ⅲ号突撃砲……今回はマジックとガルパンを繋ぐ線の一つであるこいつについて解説をさせていただきたいと思う。
Ⅲ号突撃砲──通称三突とは、歩兵部隊を支援する為にⅢ号戦車をベースに開発された、ドイツの突撃砲である。
突撃砲とは自走砲の一種で、厳密には戦車とは少々異なるのだが、そこら辺の区別は相当曖昧である。無駄に区別が細かい理由はドイツの役所仕事の都合だとか。
前述の通り歩兵部隊の支援のために作られたものであるため、対戦車戦闘を意識はされていなかった。そのため固定砲塔を用いており、対戦車戦闘での機動戦に置いて必須である回転式砲塔はついていない。
しかし固定砲塔故に被弾し辛い低フォルムと高い生産率を誇っており、第二次世界大戦中のドイツにおいて最多の生産数を誇っていたりする。
だが、大戦中期以降は対戦車戦闘も多くなっていき、突撃砲の本来の使用用途からはズレることも増えていった。
しかし、三突は長砲身の75mm砲を搭載して戦車戦でもそのまま用いられるようになった。
本来戦車戦闘には向かないはずの固定砲塔だったが、その高い攻撃力と、皮肉ながら後期のドイツは突撃砲を活かしやすい防衛戦が増えたことなどから、かなり長期に渡って親しまれてきた。
ドイツで生産された車両だが、他の国に供与したものもあるため、ドイツ以外の国でも使用されたことがある。
ブルガリアではドイツから供与された三突を用いた部隊を形成したが、使われたのはブルガリアが連合国側に寝返った後の対ドイツ戦である。なんとも皮肉なこととなった。
フィンランドにも供与しており、継続高校の名前の元ネタである継続戦争にて使用された。フィンランドの主力として、ソ連戦車を多数撃破した。
生産数が多いだけあって、他にも多数の国に供与したり鹵獲されたりしている。
歩兵支援のために生産されたものであること、高い攻撃力と防御力を持っていたこと、歩兵の盾になることも多かったなどのことから、当時のドイツ歩兵部隊からは相当親しまれていたようである。大戦後期ではドイツ軍の中でどの部隊で運用するか争いが起きたほどであるとか。
ガルパン世界では大洗女子のカバさんチームが使用する車両として登場。
様々なバリエーションが存在するが、作中で使われるのはF型。最終形式であるG型の一個前。ちなみに基本的に知られている三突と言えばG型なので、F型は少々マイナー。
前述の通り、厳密には戦車ではないのだが戦車道規定には反していないらしい。
初期の大洗女子が所持する車両の中では数少ないマトモな戦力であり、メンバーであるカバさんチームが(みほと優花里を除く初期大洗面子の中で)比較的戦車戦に慣れる事が早かったこともあって、初期から大洗女子の頼れるアタッカーとして活躍し続けている。
現実世界でもそうだったように、ガルパン世界でのⅢ突も低い車高を生かした待ち伏せ作戦にて戦功を挙げることが多い。
練習試合・聖グロ戦では住宅に紛れた待ち伏せによって一両を撃破。しかし目立った改造によって位置がバレてしまい、その後撃破されている。以降、速攻で元に戻していた。
一回戦・サンダース戦でも森林の中に隠れながらの狙撃によってM4シャーマンを撃破。この辺りで三突の強みを理解してきていることが分かる。
二回戦・アンツィオ戦では三突にならって開発されたセモヴェンテとの鍔競り合いを演じた。激しい戦闘の末、最終的には相打ちとなっている。
三回戦・プラウダ戦では本領を発揮。雪の中に隠れて相手のフラッグ車を撃破、勝負の決め手となった。
決勝戦・黒森峰戦ではその火力を活かして山頂から敵車両を2両撃破している。川の中を渡っている時は固定砲塔故の悩みを漏らしていた。残念ながら超重戦車マウスには至近距離からの砲撃すら跳ね返され、撃破されてしまった。
本編において大洗女子の火力役として非常に重要な役割を担っており、単純な撃破数であれば主人公車・Ⅳ号より多い。
低い車高を生かした待ち伏せ作戦と大洗の自在な戦い方が噛み合ったが故の戦果とも言えるだろう。
劇場版においても、やはり待ち伏せによる撃破が非常に多い。
エキシビジョン、大学選抜戦においての撃破は全て待ち伏せによるものであり、総4両を撃破している。
ただ、固定砲塔故の弱点も同時に披露しており、CV33ターン別名ナポリターンによって機動戦を仕掛けた時はあっさりと対処され撃破されてしまった。
いくら みほの指揮能力が高いとは言っても、そもそも戦車を撃破出来なければ意味がないわけで、その点で相手車両を撃破することが出来る三突の重要度の高さは言うに及ばない。
また、カバさんチームの面子が最初から軍事に対して造詣が深かったのも、初心者が多い大洗においては貴重であっただろう。
総じて大洗女子の火力役に相応しい活躍をしており、初期から最後まで常に頼れる車両であった。
いかがであっただろうか。
もしも盤面で 《猛き雄カバ/Bull Hippo》を見かけることがあれば三突の勇姿を……うーん……《ホタル/Firefly》並に現代のマジックの盤面で見かけることはないかもしれないが、今後マジックにカバが追加される可能性は十分あるので、もしカバのクリーチャーが追加されたら三突のことを思い出してもらいたいものだ。うん。
こんなところにも、マジックとガルパンを繋ぐ線は存在する。
もしかしたらやはりガルパンは実質MTG理論は本当に証明できてしまうのかもしれない。
その理論を実証するため、次回もまた、私はマジックとガルパンを繋ぐ線というものを模索していく。
それではまた、次回の記事にて。
・過去作
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその1 《ホタル/Firefly》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608040116537503/
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその2 《灰色熊/Grizzly Bears》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608070214417100/
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608150130117645/
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその4 《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608200134258316/
ゼクスのカードから学ぶガールズ&パンツァーその1 《猛進する重戦車センチュリオン》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608231845359499/
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