MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその6 《板歩きの刑/Walk the Plank》
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその6 《板歩きの刑/Walk the Plank》
前回→http://gizamistar.diarynote.jp/201609021942444612/

※本記事にはガールズ&パンツァー最終章第1話のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意願います。












































もうちょっと下↓



























































まるでウォークザプランクだね……。


波濤を越えるぞ、覚悟はいいか!!


ソーヨロー!!


Walk the Plank / 板歩きの刑 (黒)(黒)
ソーサリー
マーフォーク(Merfolk)でないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。


 ウォークザプランクとは、海賊が船から板を渡らせて最終的に海に突き落とすアレである。
 多分多くの人がピーターパンか何かで見たことがあると思われる。
 某バンドの名前を思い出した人は通だが、まぁ今は関係ない。


 さて、肝心のマジックにおける性能だが、マーフォークというピンポイントな所には効かないとはいえ割と広い範囲を対象に取れる除去である。
 モダン以下では2マナもあれば十分除去は多いため使われないにせよ、スタンダードでならば十分有用──かと思われたが、ソーサリーということと黒ダブルシンボルが思いの外重く、黒単でならば採用される程度に留まっている。稀に青黒コンで使われることもある程度。
 リミテッドでならばどうかというと、2マナの確定除去は間違いなく優秀だが、同リミテッドにおいてはマーフォークが優秀でそれなり以上に使われているため、大事な場面において意外と使えない場面が多発した。

 黒単で使われるだけ決して無用なカードではないのだが、その黒単自体が最近勢いを失い始めているため、同時にこのカードの活躍の場も同時に失われつつある。
 インスタントならモダンにて親和クリーチャーを倒せない喉首狙いと枠を争うことも出来なくはなかっただろうし、コモンならパウパーにて一線級の除去となってくれただろうが……なんとも惜しいカードである。


 さて、このウォークザプランクだが、なんと最終章においてガルパンに登場するという快挙を成し遂げた。

「まるでウォークザプランクのようだね……」

 因幡の白兎作戦時に竜巻のお銀がポツリと漏らしたのは、橋から落ちていく様子を表したものであるだろう。
 ちなみに実際の因幡の白兎の話でも踏み台にされているのはワニザメである。余談だが、作中で妙にウサギさんチームとサメさんチームの相性が悪かったことについて、この話が絡んでいないとは思えない。

 さて、そのウォークザプランクを行なったワニザメ──ガルパンにおいてはMk.Ⅳについて、今回はお話をさせて貰おうと思う。

 Mk.Ⅳ(マークフォー)──最終章にて大洗のサメさんチームが搭乗した戦車である。大洗の中では実は初めてのイギリス戦車。
 世界で初めて出来た戦車、Mk.Ⅰの改良版であり、第一次世界大戦にて用いられた。
 作中でも優花里が言及していたが、ドイツのA7V突撃戦車と史上初の戦車VS戦車の戦いを繰り広げたという歴史を持つ。
 で、史上初の戦車戦を繰り広げたというところで察して欲しいのだが──この戦車、ガルパン作中に登場する戦車の中でもトップクラスに古いのである。それまで最古であった八九式を十年以上塗り替える程。ゲーム機で例えればスペースインベーダーとかそういうのとタメを張れるレベルである。ちなみに同作品にてマリーの登場していたFT-17も同年代。
 ある意味偵察として使えるだけCV33の方がマシに思えるくらい戦力になるか怪しく、ポルシェティーガー以上に運用面で難があるとしか思えない木偶の坊だが、最終章では因幡の白兎作戦にてまさかの活躍をし、大洗を窮地から救った。

 Mk.Ⅳには武装が機関銃のみの雌型と6ポンド砲を搭載した雄型が存在しており、ガルパンにおいては後者が採用されている。前に搭載された主砲はまるで船の大砲のようにも見えるが、意識してやっているのかは不明。ガルパンスタッフだしどうせ考えてるだろうけど。
 しかし基本的にスペックは最初期の戦車だけあって、大戦中の戦車しか用いられないガルパン作中の戦車の中でもどん底レベルで最低であり、今後どのような扱いをされるのか非常に楽しみとなる戦車である。


 いかがであっただろうか。
 今後板歩きの刑の見ることがあれば、サメさんチームの勇姿を是非思い出してもらいたいものだ。
 過去の《猛き雄カバ/Bull Hippo》とか《ホタル/Firefly》に比べれば遥かに目にする可能性は高いだろう。幸いまだスタン落ちもしてないことだし。

 しかし、マジックとガルパンを繋ぐ線が、まさか新たに生まれてしまうとは。
 ガルパンは実質MTG理論は、もしかしたら今後さらに強固たるものになっていくのかもしれない。
 この理論を実証するため、次回もまた、私はマジックとガルパンを繋ぐ線というものを模索していく。
 それではまた、次回の記事にて。

・過去作
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその1 《ホタル/Firefly》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608040116537503/

MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその2 《灰色熊/Grizzly Bears》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608070214417100/

MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608150130117645/

MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその4 《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608200134258316/

ゼクスのカードから学ぶガールズ&パンツァーその1 《猛進する重戦車センチュリオン》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608231845359499/

MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその5 《猛き雄カバ/Bull Hippo》
http://gizamistar.diarynote.jp/201609021942444612/ 
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその5 《猛き雄カバ/Bull Hippo》
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその5 《猛き雄カバ/Bull Hippo》
──水の中を支配しているのはマーフォークかもしれないが、カバは権威というものにあまり敬意を払わないんだよ。

Bull Hippo / 猛き雄カバ (3)(緑)
クリーチャー — カバ(Hippo)
島渡り(このクリーチャーは、防御プレイヤーが島(Island)をコントロールしているかぎりブロックされない。)
3/3


 クリーチャータイプにカバなんていたのか。
 そう思うのも無理はないし、おそらく自然な反応だろう。
 何故ならMTGにクリーチャータイプ:カバ/Hippoを持つクリーチャーはわずか二種類しか存在しないからである。よくサブタイプ変更で生き残っていたものだ。
 その二種が登場したのもビジョンズとウルザズサーガという古い時代のものであり、どちらも目立った効果を持っているわけでもない。《探索するフェルダグリフ/Questing Phelddagrif》の能力で出てくるカバトークンの方がまだいくらか知っている人がいるレベルである。

 さて、今回紹介するのは、その二種しかいないカバのクリーチャーの片割れである《猛き雄カバ/Bull Hippo》である。
 地味に三種類ものイラストが出ていたりするが、そのうち基本セットのものではマーフォークに対しての言葉が書かれている。
 それを証明するかのように、このカバが持っているキーワード能力は島渡りである。
 緑のクリーチャーだというのに島渡りを持っているのは少々違和感があるかもしれないが、これは色対策サイクルのカードであるため。ちなみに、現実のカバも水の中を渡るのは相当早い。陸上の熊も相当速いことで知られているが、それとタメを張れるレベル。
 さらに言うとアフリカで野生動物による被害が一番多いのはカバだという。子どもを守る時は特に強い!! ライオンだって倒しちまうんだぜ!!

 3/3というサイズと島渡りを持っているため、リミテッドで青を使う相手と当たった時は非常に頼れるアタッカーとして運用することが出来る。
 4マナで3打点なら飛行でも十分恐ろしいのだが、島渡りならば飛行でもブロック出来ないのだ。恐ろしい速度で相手のライフを減らすことが出来るだろう。
 だが、残念ながら構築での島渡りは完全にマーフォークが主権を握ってしまっている。カバにもロードが大量に収録されれば少しは状況が変わるかもしれないが、もしそうなったとしても《猛き雄カバ/Bull Hippo》の出番はないだろう……。

 ……以上である。
 無駄口を叩くことには定評のある山吹ではあるが、いくらなんでも島渡りを持つだけの実質バニラについてこれ以上語るのは無理がある。これでも十分頑張った方だと賞賛されてもおかしくはないだろう。
 ただまぁ、マジックにカバという存在があることを知ってもらえるという意味はあったかもしれない。いつかロクソドンのように種族でカバが扱われることを祈ろうではないか。


 このように、マジックでのカバの扱いは少々残念なものであることは否めない。
 けれども、ガルパンファンにおけるカバの扱いは決して悪くないのだ。
 ガルパンでカバと言えば……そう、思いつくのはたった一つしかないだろう。
 カバさんチーム・Ⅲ号突撃砲……今回はマジックとガルパンを繋ぐ線の一つであるこいつについて解説をさせていただきたいと思う。

 Ⅲ号突撃砲──通称三突とは、歩兵部隊を支援する為にⅢ号戦車をベースに開発された、ドイツの突撃砲である。
 突撃砲とは自走砲の一種で、厳密には戦車とは少々異なるのだが、そこら辺の区別は相当曖昧である。無駄に区別が細かい理由はドイツの役所仕事の都合だとか。
 前述の通り歩兵部隊の支援のために作られたものであるため、対戦車戦闘を意識はされていなかった。そのため固定砲塔を用いており、対戦車戦闘での機動戦に置いて必須である回転式砲塔はついていない。
 しかし固定砲塔故に被弾し辛い低フォルムと高い生産率を誇っており、第二次世界大戦中のドイツにおいて最多の生産数を誇っていたりする。

 だが、大戦中期以降は対戦車戦闘も多くなっていき、突撃砲の本来の使用用途からはズレることも増えていった。
 しかし、三突は長砲身の75mm砲を搭載して戦車戦でもそのまま用いられるようになった。
 本来戦車戦闘には向かないはずの固定砲塔だったが、その高い攻撃力と、皮肉ながら後期のドイツは突撃砲を活かしやすい防衛戦が増えたことなどから、かなり長期に渡って親しまれてきた。

 ドイツで生産された車両だが、他の国に供与したものもあるため、ドイツ以外の国でも使用されたことがある。
 ブルガリアではドイツから供与された三突を用いた部隊を形成したが、使われたのはブルガリアが連合国側に寝返った後の対ドイツ戦である。なんとも皮肉なこととなった。
 フィンランドにも供与しており、継続高校の名前の元ネタである継続戦争にて使用された。フィンランドの主力として、ソ連戦車を多数撃破した。
 生産数が多いだけあって、他にも多数の国に供与したり鹵獲されたりしている。

 歩兵支援のために生産されたものであること、高い攻撃力と防御力を持っていたこと、歩兵の盾になることも多かったなどのことから、当時のドイツ歩兵部隊からは相当親しまれていたようである。大戦後期ではドイツ軍の中でどの部隊で運用するか争いが起きたほどであるとか。


 ガルパン世界では大洗女子のカバさんチームが使用する車両として登場。
 様々なバリエーションが存在するが、作中で使われるのはF型。最終形式であるG型の一個前。ちなみに基本的に知られている三突と言えばG型なので、F型は少々マイナー。
 前述の通り、厳密には戦車ではないのだが戦車道規定には反していないらしい。

 初期の大洗女子が所持する車両の中では数少ないマトモな戦力であり、メンバーであるカバさんチームが(みほと優花里を除く初期大洗面子の中で)比較的戦車戦に慣れる事が早かったこともあって、初期から大洗女子の頼れるアタッカーとして活躍し続けている。
 現実世界でもそうだったように、ガルパン世界でのⅢ突も低い車高を生かした待ち伏せ作戦にて戦功を挙げることが多い。

 練習試合・聖グロ戦では住宅に紛れた待ち伏せによって一両を撃破。しかし目立った改造によって位置がバレてしまい、その後撃破されている。以降、速攻で元に戻していた。
 一回戦・サンダース戦でも森林の中に隠れながらの狙撃によってM4シャーマンを撃破。この辺りで三突の強みを理解してきていることが分かる。
 二回戦・アンツィオ戦では三突にならって開発されたセモヴェンテとの鍔競り合いを演じた。激しい戦闘の末、最終的には相打ちとなっている。
 三回戦・プラウダ戦では本領を発揮。雪の中に隠れて相手のフラッグ車を撃破、勝負の決め手となった。
 決勝戦・黒森峰戦ではその火力を活かして山頂から敵車両を2両撃破している。川の中を渡っている時は固定砲塔故の悩みを漏らしていた。残念ながら超重戦車マウスには至近距離からの砲撃すら跳ね返され、撃破されてしまった。

 本編において大洗女子の火力役として非常に重要な役割を担っており、単純な撃破数であれば主人公車・Ⅳ号より多い。
 低い車高を生かした待ち伏せ作戦と大洗の自在な戦い方が噛み合ったが故の戦果とも言えるだろう。

 劇場版においても、やはり待ち伏せによる撃破が非常に多い。
 エキシビジョン、大学選抜戦においての撃破は全て待ち伏せによるものであり、総4両を撃破している。
 ただ、固定砲塔故の弱点も同時に披露しており、CV33ターン別名ナポリターンによって機動戦を仕掛けた時はあっさりと対処され撃破されてしまった。
 
 いくら みほの指揮能力が高いとは言っても、そもそも戦車を撃破出来なければ意味がないわけで、その点で相手車両を撃破することが出来る三突の重要度の高さは言うに及ばない。
 また、カバさんチームの面子が最初から軍事に対して造詣が深かったのも、初心者が多い大洗においては貴重であっただろう。
 総じて大洗女子の火力役に相応しい活躍をしており、初期から最後まで常に頼れる車両であった。
 

 いかがであっただろうか。
 もしも盤面で 《猛き雄カバ/Bull Hippo》を見かけることがあれば三突の勇姿を……うーん……《ホタル/Firefly》並に現代のマジックの盤面で見かけることはないかもしれないが、今後マジックにカバが追加される可能性は十分あるので、もしカバのクリーチャーが追加されたら三突のことを思い出してもらいたいものだ。うん。

 こんなところにも、マジックとガルパンを繋ぐ線は存在する。
 もしかしたらやはりガルパンは実質MTG理論は本当に証明できてしまうのかもしれない。
 その理論を実証するため、次回もまた、私はマジックとガルパンを繋ぐ線というものを模索していく。
 それではまた、次回の記事にて。


・過去作
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその1 《ホタル/Firefly》
http://gizamistar.diarynote.jp/201608040116537503/

MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその2 《灰色熊/Grizzly Bears》
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MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその4 《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその4 《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》
軽くて大きい、そんなワガママを体言したクリーチャーがそこにある。

Phyrexian Dreadnought / ファイレクシアン・ドレッドノート (1)
アーティファクト クリーチャー ? ドレッドノート(Dreadnought)
トランプル
ファイレクシアン・ドレッドノートが戦場に出たとき、パワーの合計が12以上になるように好きな数のクリーチャーを生け贄に捧げないかぎり、これを生け贄に捧げる。
12/12


 マナレシオ、という単語を御存知だろうか。
 MTG wikiから引用させてもらうが、『パワーとタフネスの平均を点数で見たマナ・コストで割った値』のことを指す言葉である。
 マナレシオがいいというのは、低いマナコストで高いステータスを持つことを意味する。一般的な用語で例えるなら、コストパフォーマンスなどが近いだろうか。
 マナコストは低い方が扱いやすいし、パワーやタフネスは高い方が役に立つ状況が多い。
 となれば、プレイヤー達が低いマナコストで高いステータスを求めるのは道理と言ってもいいだろう。まるでワガママ人事のように。新入社員にステータスを求めるのよくない。

 だが当然、低いマナコストで高いステータスを持つクリーチャーなど、そう簡単に存在しているわけもない。
 サイズが多くなればなるほど、その分マナコストも高くなる。現代マジックでは過去ほどマナレシオの基準値が低いわけではないとはいえ、基本的にはマジックが始まって以来、不変の法則の一つと言える。
 しかし、もしも1マナで他を薙ぎ払うサイズを持つクリーチャーがいたとしたらどう思うか?
 そんなのはまさに夢物語。あってはならないものだ。
 だが、そんな夢物語を実際に体言しているクリーチャーが存在している。
 そう、それが今回ご紹介したい《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》である。

 わずか1マナで12/12というサイズは、少しでもマジックを触ったことがあれば本来有り得ない程のものであることが分かる。
 マジック史上でもトップクラスのマナレシオを誇っており、事実《死の影/Death’s Shadow》が生まれるまでは一番高いマナレシオを持つクリーチャーであった。
 だが、当然ながらそのようなワガママボディが何のコストもなく許されるわけがない。
 その代償に、場に出る時に相応のクリーチャーを生贄に捧げなければならないというデメリットが付与されていたのだ。
 いくらマナコストだけが軽くても、他のコストがそこまで大きければ普通に運用するにはさすがに無理が生じる。

 しかしデメリットは大きいとはいえ、有り得ないサイズを持つクリーチャーであることは揺るぎ様のない事実。
 このデカブツをどうにか扱うため、今までに数多くの試行錯誤が行なわれてきた。
 今のエターナル環境で《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》を扱う有名なデッキと言えば、スタイフルノートであろう。
 《もみ消し/Stifle》や《幻視の魔除け/Vision Charm》などを利用し、デメリットを踏み倒し、恩恵だけ与ろうというデッキだ。
 他にも《投げ飛ばし/Fling》や《伏魔殿/Pandemonium》などでその大きいサイズを活かしたコンボなども生まれてきた。
 一度決まれば、そのまま相手を蹂躙することが出来る。
 扱うのに工夫や苦労は必要だが、ひとまち場に出れば圧倒的な戦力を誇る。まさに、イギリス戦艦ドレッドノートの名を冠するに相応しいクリーチャーと言えるだろう。


 このファイレクシアン・ドレッドノートも体現していたように、戦艦の名前にもなったドレッドノートという単語には圧倒的な強さを誇るという意味合いを持つことがある。(元々は恐れ知らずを意味する単語)
 あまりに圧倒的だからか、日本でも弩級という単語の元ネタになったほどである。
 なんと、戦車においてもこのようにドレッドノートと称された機体が存在しているのだ。
 ドレッドノートという誇れ多い呼び名を持つ戦車。
 それが一体なんであるか、あなたは御存知であろうか。














 答えは、KV-2。第二次世界大戦においてソ連が開発した重戦車である。
 あまりの火力と重装甲によって、ドイツ兵からはギガントと恐れられ、ソ連兵からはドレッドノートと親しみを込めて呼ばれた。
 ガルパンでは、プラウダ高校が使用する戦車として登場している。

 まさかファイレクシアン・ドレッドノートからプラウダの重戦車が紹介されると予測出来た者はおるまい。ガハハ。
 というわけで、続いてKV-2についても解説したいと思う。



 繰り返すがKV-2とはソ連が開発した重戦車であり、一目見れば驚く巨大な152mm榴弾砲と、ティーガーと同レベルの装甲を兼ね揃えている化け物である。
 その存在感は圧倒的であり、ドイツ軍との戦いでは40両の戦車を撃破しただとか、フィンランド軍の対戦車用砲48発を受けても損傷なく動き続けただとか、武勇伝には枚挙に暇がない。
 リトアニア国ラシェイニャイ市でのドイツ軍との戦いではたった一両で街道上に居座り、ドイツ軍の前衛と補給部隊を分担させ、二日間も戦い続けたという話もある。
 その最期も、装甲を突破されて撃破された訳ではなく、内部に手榴弾を投げ込まれてようやく動きを止めたというとんでもなく壮絶なものであった。
 劇場版ガルパンにおいてニーナが言っていた『街道上の怪物』という二つ名は、この強烈過ぎるエピソードが元となっている。
 まさに怪物と呼ばれるに相応しい戦車と言えるだろう。

 ……だが、大きいサイズを持つものはそれだけ運用が難しいというのはマジックでも戦車でも共通しているようで、KV-2もまた運用するに当たって多くの問題を抱えていた戦車であった。
 このKV-2のベースとなったKV-1も戦闘より故障によって壊れることが多いと言われていたが、そのKV-1と同じターレットリング(砲塔の回転部分)を利用しているのに砲塔は巨大になったため、砲塔を旋回するにあたって大きな制限が存在していた。劇場版ガルパンでも、この砲塔旋回がアダとなってエキシビジョンマッチでは白旗を挙げている。
 また、その重量から機動性も低く、さらに砲弾があまりに大き過ぎる為に採用する弾が分離装薬式──要するに組み立て式になってしまったこともネックであった。
 どうして弾が組み立て式なことがネックなのかといえば、当然それだけ装填するのに時間が掛かるということである。装填手も珍しく二名必要となってしまった。
 ガルパン本編では、みほに「次の装填までに時間がある」と冷静に対処されてしまっている。また、ガルパン劇場版ではわざわざニーナ達が分離装薬式の弾を込めているシーンが描かれていた。数多くあるマニアックなシーンの一つであろう。
 これらの弱点による故障率の問題、そして当時のソ連軍の運用方針の変更から、これだけ強烈なスペックを誇っていたにも関わらず生産は早々に打ち切られてしまい、いくつか有名な戦いはあるものの、残念ながら後から世界大戦を広い視点で見ればあまり大きい活躍は出来なかったというのが現実である。


 ガルパン本編においては、プラウダ高校のニーナ、アリーナの乗車する戦車として登場。
 大洗VSプラウダ戦においては、フラッグ車の護衛として参戦している。
 しかし先述の通りの装填速度の問題を突かれてしまい、弱点であるターレットリングをⅣ号、三突に狙われて撃破されてしまった。

 ガルパン劇場版にも再登場。エキシビジョンマッチでは神磯の鳥居付近の海から伏兵として突如現われた。この前ポケモンGOで話題になったジムの辺り。
 チャーチルを追う大洗、知波単連合に対して巨砲を発射。残念ながら戦車には命中しなかったものの、大洗ホテル、大洗シーサイドホテルを立て続けにぶっ壊したシーンは視聴者に対して大き過ぎるインパクトを残した。
 しかし、不安定な足場で無理矢理砲塔を旋回したことによってひっくり返ってしまい自滅。活躍は出来ずに白旗を挙げてしまう。現実でも、坂道などでは砲塔旋回を行なえないことが問題点として指摘されていた。

 その後、大学選抜戦にもプラウダ高校からの援軍として参戦。ひまわり中隊に配属され、二百三高地の上から援護すべく進軍を行なった。その機動力のせいか、坂道の道中にてカチューシャのT-34/85に追突されている。
 ちなみにこの時カチューシャが口に出していた二百三高地、エルヴィン達には負ける気か? と突っ込まれていたが、これがどういうことか大雑把に説明すると、日露戦争にて日本軍にロシアが奪取された中国の丘陵のことである。プラウダが持ち出すにはあまりに縁起が悪い戦いであり、突っ込まれるのは当たり前であろう。ちなみに勝った側である日本軍をモチーフにしている知波単の西隊長も二百三高地に嬉々として反応しているが、こっちはある意味正しい反応。激しい消耗戦でしたけどね。

 閑話休題。
 KV-2ら、ひまわり中隊は無事に山の頂上を奪取することに成功。高い所からの援護を行なおうとする。しかしその矢先にカール自走砲による襲撃を受けてしまい、早々に撤退を決め込む羽目になってしまった。
 しかし黒森峰とプラウダの重戦車の撃破を狙う大学選抜チームがそのまま逃走を許すわけもなく、ひまわり中隊を追撃。殿を務めていたカチューシャ車が狙い撃ちされてしまう。
 そこでプラウダのクラーラ、ノンナがカチューシャを逃がす為に道中にて盾役を決行。ニーナ達のKV-2もそれに続いて盾となることを決断する。
 道中にて盾となるその勇姿は、まさに『街道上の怪物』の再現と呼ぶに相応しいものだろう。
 残念ながらKV-2は一両も相手戦車を撃破することなくそのまま立ち往生を迎えてしまったが、プラウダの奮闘によってカチューシャらは逃げ切ることに成功。島田愛里寿による黒森峰プラウダ重戦車一掃作戦は、半分の被害によって凌ぐことが出来たのであった。
 ちなみにノンナが勝つために必要な方であるとまで言い切り、プラウダの面々が身を賭して守ったカチューシャがこの後の大学選抜戦でどれほどの活躍をしたかというと『パーシング二両撃破、レオポンさんチームへのアドバイス、アリクイさんチームへの砲撃のブロック、体当たりによるルミ車撃破のためのエリカへのアシスト』とプラウダの無念を完全に払拭するかのような戦いぶりを見せている。単に自分が撃破するだけではなく、アシストによる活躍が多いところに注目だ。普段傲慢な一面を見せながらもニーナ達が望んで盾役を買って出たのは、こういうところが慕われていたからなのだろう。

 KV-2はガルパン本編、劇場版双方にて一両も撃破することは出来なかったが、分離装薬式の装填や劇場版でも屈指の名シーンである『街道上の怪物』の場面など、見せ場は少なくない。
 特にホテル二つを破壊したところなどはド肝を抜かれた方も少なくはないはず。まさに、ドレッドノートと称されただけのことはあるということだろう。
 

 いかがであっただろうか。
 もしもファイレクシアン・ドレッドノートを見かけることがあれば、同じくドレッドノートと親しみを持って呼ばれたKV-2の勇姿を思い出してもらいたいものだ。
 12/12のサイズと運用の難しさ、まさにKV-2と似たような立ち位置にあると言えるだろう。

 マジックとガルパンを結ぶ線には、こんな隠し玉もあるというわけだ。
 次回もまた、マジックとガルパンを結ぶ線について紹介していきたいと思う。
 それでは、また。

MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
──かつてのミラディンの象徴であり、それを再び取り戻すための希望。

Mirran Crusader / ミラディンの十字軍 (1)(白)(白)
クリーチャー — 人間(Human) 騎士(Knight)
二段攻撃、プロテクション(黒)、プロテクション(緑)
2/2


 クルセイダーを日本語で訳す時は、大体十字軍と表記する。
 その十字軍とはどういう意味かというと、元々は西ヨーロッパの中世期辺り、キリスト教(カトリック)の国々が聖地をイスラム教から取り返すために編成された十字を身に着けた遠征軍のことである。キリストが絡んでるから十字架(クルセイド)からの十字軍(クルセイダー)。ただし、名称の定義は結構適当な模様。
 今では少々意味合いが異なって、邪悪なものを相手にする遠征軍的な意味合いでまとめられそう。ジョジョのスターダストクルセイダーズとか。あれも遠征するストーリーだったね。

 MTGでもミラディンとファイレクシアの包囲戦で戦う兵士らにその十字軍/Crusaderの名が与えられている。白騎士VS黒騎士の構図ってめっちゃカッコいいよね。
 侵略される側のミラディンと侵略してくるファイレクシアでなら、ファイレクシア側はともかくミラディン側は防衛軍とかそんな感じでもいい気がするのだが、私はあいにくミラディン傷跡ブロックのストーリーに詳しくないので、誰かミラディンの十字軍のストーリー上での活躍を教えてください。

 そのミラディンの十字軍のカード上のスペックだが、昨今(もう大分前だが)のクリーチャースペックインフレを象徴するかのようなとんでもないテキストが記されている。
 色が限定されているとはいえ、破格の耐性を得られるプロテクション。そして先制攻撃の上位互換を持ち強化系の恩恵を強く受けられる二段攻撃。その二つが何故かわずか3マナのクリーチャーにダブルでくっついているのである。
 除去の強い黒、クリーチャー最強の緑の二色に耐性があるというのは除去戦でも殴り合いでも優位に立てることが多くなることを意味し、特にBGミッドレンジなどには出すだけで勝てることもしばしば。
 ……だが、稲妻には無力であること、狩り相手であるBG自体がほぼ稲妻を取り入れたジャンドとなっていること、そもそもそのBGミッドレンジでさえヴェールのリリアナという天敵を持ち合わせていることから、BGミッドレンジが流行っていた二年前のモダン環境でも刃の接合者に出番を奪われていた感がある。とはいえスペック自体は優秀なことから、今でも一応モダンレガシー双方にてちょいちょい採用自体はされており、終止や衰微を跳ね返しつつタルモを殴り倒してたりする。


 さて、そんなミラディンの十字軍と同じ十字軍の名を冠している戦車が存在していることを御存知だろうか。
 そう、クルセイダー巡航戦車。イギリスで開発され、ガルパン作中では聖グロリアーナ女学院で使用されている戦車である。
 今回は、このクルセイダーについて少しお話をしよう。

 クルセイダーは、カヴェナンター巡航戦車の後を継ぐような形で開発され、そして北アフリカへと投入された。
 ちなみにこのアフリカに遠征していることからクルセイダー/十字軍の名がつけられたものだと思われる。具体的な命名の由来のソースは探しても見つからなかったから知らん。
 ガルパン作中でも散々見せられたと思うが、クルセイダーは高速性がウリとなる戦車であり、速度は当時の戦車の中では相当速い部類となっていた。
 しかし、とにかく故障が多い機体としても知られ、36時間無事故で走ることが出来れば奇跡と皮肉られるほど。あ、ここミラディンクルセイダーの略称のミラクルと被ってて面白いですよね。
 速度制限用のリミッターが搭載されていたが、イギリス軍兵士が更なるスピードを出す為にしょっちゅうこのリミッターを外してはぶっ壊れる事態も頻発していたという。ガルパン作中のローズヒップの「リミッター外しちゃいますわよ!」のセリフの元ネタはここら辺にあるものと思われる。
 スピードを出す為に装甲を犠牲にしている部分もあり、当時主に相手にしていたドイツのⅢ号戦車(水没した黒森峰の赤星小梅が乗車してたやつ)には結構近づかないと撃破できないのに、相手からは遠くからでも撃破されるというスペックの違いを見せ付けられた。しかしこんなんでも当時のイギリス戦車の中では唯一戦力になる戦車だったために、大戦中期辺りまでは使い続けられている。
 最初に開発されたクルセイダーがそのままずっと使い続けられていたわけではなく、Mk.Ⅰ、Mk.Ⅱ、Mk.Ⅲとバリエーションがある。ローズヒップが乗車していたのは最終形のMk.Ⅲ。
 継続高校の乗っていたBT-42と同じ天下のクリスティ方式だが、履帯を外して走行は出来ない。だが、ガルパン作中では共に走りで魅せるシーンが多いという共通点がある。ちなみにローズヒップがエキシビジョンマッチにて押し出したクラーラ(カチューシャ)の乗るT-34もクリスティ方式。そんなところで共通点が。

 さて、ようやくガルパン作中でのクルセイダー話になるが、クルセイダーは劇場版で初登場──とかいうと一部のガルパンおじさんに優しく注意されるから気を付けるように。
 ガルパン本編では、第四話にてマチルダⅡ、チャーチルと並んでクルセイダーMk.Ⅱ(←Mk.Ⅲではない)が写り込んでいる。あと『月刊 戦車道』の表紙にチラリとMk.Ⅲが写り込んでたりする。つまり劇場版初登場ではない。誰に通じるんだこのネタ。

 ほとんどのガルパンおじさんが知るクルセイダーMk.Ⅲは劇場版のエキシビジョンマッチにてローズヒップらの戦車として登場。会長にカニっぽいねと評された。
 劇場版初登場の際にエルヴィンから脚が速いから要注意だ、と警告されていたが、これは北アフリカでエルヴィン・ロンメルが率いるドイツ軍とクルセイダーが戦闘を繰り広げていたことが由来だろう。だから誰に通じるんだこのネタ。

 大洗町に入ってからは自慢の速さを活かしフラッグ車のあんこうチームⅣ号を追い詰めるが、カモさんチームのルノーB1におりゃと弾き飛ばされ、以降の戦車も追突してしまう。ちなみにこの時にみほが「重量差があるから大丈夫」とそど子に言っていたが、実際どんくらい差があるかって言うとルノーB1bisが32tに対してクルセイダーは20tほど。そりゃ弾き飛ばされる。

 その後もダージリンの指示によってⅣ号をしつこく追跡するが、軍神みほの神掛かった指示とあんこうチームらの技術力の前に三台が続けて撃破されてしまう。
 ローズヒップ車のみが生き残り、プラウダのT-34、IS-2らと共に再びⅣ号を追う立場になるものの、クラーラの倒した信号機に引っかかってしまい止まっていたクラーラのT-34/85に追突してしまい肴屋本店ごと爆破、クラーラ車から白旗を挙げてしまう。
 しかし、ローズヒップ車は生き残っていた(爆破シーンを見ると確かにクルセイダーからは白旗挙がっていない)ようで、その後アクアワールドまで復帰。……したものの、河嶋のヘッツァーの明後日を向いた砲撃に運悪く当たってしまい撃破されてしまった。南無三。

 その後、大学選抜戦ではダージリンのチャーチル、ルクリリのマチルダⅡらと共に聖グロリアーナからの援軍として参戦。常時落ち着かない動きを見せて多くの笑いを誘った。ちなみに車長であるローズヒップ自体は運転をしていないが、監督曰く同乗者も全員ローズヒップと同レベルかそれ以上のアレなことが判明している。聖グロリアーナの優雅さは何処へ。
 たんぽぽ中隊に配属されたクルセイダーはみほ、ダージリンらと共にルミ中隊と戦闘を開始。カールの砲撃に対しておのれぇ~!と果敢に突っ込んでいってはダージリンに窘められていた。
 遊園地に入った後はダージリンらと共に東通用門にて待ち伏せ作戦を敢行。相手の先頭車に向かって「チャーフィーいざ尋常に勝負!」と果敢に飛び込んだものの、まさかのT28重戦車が先陣を切っていた為にダージリンの指示によって早々に撤退を決め込んでいる。どうでもいいが本当にチャーフィーだったとしても真正面からでは分が悪い戦いだったと思うのだが……。

 戦車どころか日本戦艦「長門」と同レベルの装甲を持つT28重戦車を真正面から突破できる戦車はおらず、パーシングらの上手い囲い方もあって野外音楽堂に囲まれた後も、ローズヒップのクルセイダーだけは忙しなくちょこまかと動き回っていた。可愛い。
 ウサギさんチームのM3リーによって観覧車を投げ込まれた後は何故か発砲して進路変更、自軍に向けて観覧車を動かしてしまう。変ですわじゃない!!
 しかしナオミのファイアフライによってなんとかこの状況を脱出することに成功した。前々回でも書いた通りだが、ファイアフライの17ポンド砲はイギリス製で、ファイアフライはクルセイダーらの戦力不足を補うために作成されたもの。妙な所で繋がりが。ちなみにクルセイダーは6ポンド砲。
 その後はチャーフィーと撃ち合いをしており、川を飛び越えながらチャーフィーを砲撃、撃破するという離れ業を披露した。だが、空中でブレーキは当然出来ず、そのまま壁に突っ込んで自爆、白旗を挙げてしまった。ちなみにこの大学選抜戦中に自爆によって白旗を挙げたのはローズヒップのクルセイダーと自動車部レオポンさんチームのポルシェティーガーのみ。ある意味、どっちも「らしい」倒れ方だった。

 なお、ラスボス島田愛里寿の乗るセンチュリオン(Mk.Ⅰ)はイギリス戦車であり、クルセイダーら巡航戦車の速さとファイアフライの17ポンド砲を組み合わせたかのような戦車である。ある意味クルセイダーの後継機的存在といってもいいかもしれない。動きで魅せるという共通点は一応ある。性能差は少々悲しいくらい離れているが。


 是非、盤面で《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》、または《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》を見かけた時はクルセイダー巡航戦車の落ち着きのない動きを思い出してもらいたいものだ。《ホタル/Firefly》と比べればずっと目にする機会は多いことだろう。普通に使われることもままあるカードだし。
 そして逆にガルパンでクルセイダーを見かけた時はMTGの十字軍を思い出してみよう。あのクルセイダーのプロテクションは何色なんだろうなという話に花開かせるのも一興だろう。問題はそんな話に乗ってくる奴がおそらくいないことくらいだが。

 マジックとガルパンには意外なほどにたくさんの共通点が存在している。
 次回もまた、この二つの共通点について探りを入れていこうと思う。

MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその2 《灰色熊/Grizzly Bears》
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその2 《灰色熊/Grizzly Bears》
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその2 《灰色熊/Grizzly Bears》
沙織「きっとこれだよ、ブルムくま!!」

玄人おじさん「ほう、2マナ2/2のバニラクリーチャーか……」

・問題
 武部沙織のセリフからどのようにして「2マナ2/2のバニラクリーチャー」という答えに行き着いたのか、その過程を述べなさい。

 ただし、「熊=2マナ2/2バニラ」の法則は使わないものとする。


Grizzly Bears / 灰色熊 (1)(緑)
クリーチャー — 熊(Bear)
2/2

 どうもこんにちは、山吹です。
 先日、とうとう大洗へと行ってきました。
 ガルパンだけでなく、現地の食や人の素晴らしさに多々触れる機会に恵まれ、大変有意義な観光となりました。
 後日、時間があれば記事として書き残したいです。

 さて、今回のお題はすでに上記に記した問題の通りである。
 この記事をわざわざ読んでいるガルパンおじさんにはおそらく説明は不要であると思われるが、一応念のために説明しておくと、この沙織のセリフは劇場版にて謎の巨大爆発音がした後に沙織がきっとこれだよと手書き戦車でーたを見せつつ発したものだ。
 しかし爆発音が大き過ぎますと即座に秋山優花里に《否定/Contradict》されている。その後の「え~……」と声を漏らす武部殿のセリフだけであんこう鍋が三杯行けますよね。

 話戻して、どうして沙織のセリフから2マナ2/2のバニラクリーチャーに行き着くのか。
「え、くまって言ってるから熊=2マナ2/2バニラでしょ?」と解答される方もいるだろうが、それでは減点である。大きく間違っているわけでもないのがアレだが。


 それでは、2マナ2/2のバニラに行き着くまでの過程について解説を始めよう。

 そもそも、武部沙織の発した『ブルムくま』とはなんなのか? 本当にそのように呼ばれる名前の戦車があるのか?
 答えはNOである。これは、『ブルムベア』という名前を沙織が可愛らしく改変したものである。
 そしてさらにブルムベアとは何なのかっていうと、これはIV号突撃戦車という戦車の愛称。ニックネーム。だから沙織が言ったブルムくまとはニックネームのニックネームみたいなことになってる。結構凶悪な戦車なのだが、沙織のネーミングセンスにかかればここまで可愛らしく感じることができるらしい。

 このブルムベアことIV号突撃戦車とは、ドイツが開発した自走砲である。
 当時のドイツ軍歩兵部隊が苦戦しているのを手助けするために提案され、IV号戦車をベースに開発されたもの。攻撃力も防御力も優れており、主に歩兵を援護する市街戦などで活躍した。
 ちなみにベースとなったIV号戦車とは我らがあんこうチームが使用している戦車。だから沙織もパッとブルムベアを思いついたのかもしれない。

 で、このブルムベアというニックネームだが、ドイツ戦車故に当然ドイツ語なので、そのままでは意味が分かる人はまずいないだろう。
 ドイツ語で書くと“Brummbär”、これを日本語読みするとブルムベアなので日本ではブルムベアと呼ばれているらしい。 
 それで、このブルムベアとは日本語でどういう意味を持つのだろうか?


 答えは、灰色熊。気難しい人のことを指す意として用いられる。


 さて、点と点が繋がったね。

 つまりこの問題の解答は、

・ブルムくま→ブルムベア→灰色熊(気難し屋)→灰色熊(MTG)→2マナ2/2のバニラクリーチャー

 Q.E.D.


 というわけだ。
 お分かりになられただろうか。
 これで実はガルパン作中にて武部沙織は2マナ2/2バニラクリーチャーの名前を呼んでいるということが証明されたというわけだ。
 実は人々が気が付かない水面下にて、ガルパン内に2マナ2/2のバニラクリーチャーの名前が紛れ込んでいる。これには歴戦のプレインズウォーカー兼ガルパンおじさん達も驚く他無い。
 ちなみにただ一つ残念なのはドイツ語版の灰色熊の名前がブルムベアにはなっていないことである。種族名だから仕方ないのかもしれない。

 これからは2マナ2/2バニラを見つけた時は、沙織っぽく「ブルムくま!」と呼んでやろう。間違いなく通じなくて場の空気が白けること請け合いである。何かあっても当ブログでは責任を負いかねます。
 しかしガルパンのセリフ一つ取ってもマジックが潜んでいるとは……ガルパンMTG道は思ったより奥が深いのかもしれない。
 次回も、再びガルパンとMTGを繋ぐ点について書き記したいと思う。それでは。

MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその1 《ホタル/Firefly》
MTGのカードから学ぶガールズ&パンツァーその1 《ホタル/Firefly》
 どうもこんにちは、山吹です。
 このコーナーはMTGのカードの名前とかイラストとか諸々から連想できるガルパンに登場する諸々を語ろうというものです。
 いきなり何言ってんだこいつと思う方もいるかもしれませんが、元々オレはこういう人間だ! こういう人間! こういう記事を書くのが好きな人間! 最近ちょっと大人しかっただけで。


Firefly / ホタル (3)(赤)
クリーチャー — 昆虫(Insect)
飛行
(赤):ホタルはターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
1/1

 今回のお題は《ホタル/Firefly》だ。
 おそらく大部分のマジックプレイヤーはマジックにホタルが存在していることすら知らないだろうから、テキストも掲載させていただく。
 パンプ能力と飛行を持つとはいえ、4コスで1/1、しかも《焼炉の仔/Furnace Whelp》という実質上位互換が存在する為にスペック自体は残念ながら非常に微妙な虫である。
 ホタルという割に随分と攻撃的な姿をしているが、それは海外のホタルには好戦的なものやグロテスクなものも存在しているためだろう。ホタル=儚い、綺麗などというイメージを持ちがちな日本人からすれば少々信じ難いものだが。

 さて、ガルパンおじさんがホタル……というかファイアフライと聞けば思いつくものはただ一つだろう。
 そう、シャーマン・ファイアフライ。アメリカ軍のM4シャーマンをベースに改良された戦車である。ガルパン作中ではサンダース大学付属高校のナオミが搭乗する車両として登場する。あ、今搭乗と登場で掛けたの分かった?

 ベースのM4シャーマンがアメリカ製であること、ガルパン作中でサンダースが使用していることから勘違いしやすいかもしれないが、ファイアフライを開発……というより改良したのはイギリス軍である。ティーガーなどドイツの高性能戦車に対抗するため、アメリカのM4シャーマンにイギリス製の17ポンド砲を搭載し、実用化される運びとなった。
 劇場版でダージリンがシャーマンフライを「17ポンド砲さん」と呼んでいたのは、おそらくファイアフライの17ポンド砲がイギリス製であったことが由来だろう。一見、本編では何の繋がりもないように見えるダージリンとナオミの即席タッグプレイだったが、実はファイアフライがイギリス製であったことを知ってからだと戦車としての繋がりはあるということが分かる。細か過ぎてミリオタにしか通じんわ。

 ドイツの戦車に渡り合うために作り出されただけあって、その攻撃力は確かであった。ドイツ軍内でも真っ先に撃破するように通達が出されたほどである。しかし、攻撃面では強力であってもベースはほぼM4シャーマンそのままであったこと(防御力が低いままだった)、使用していた砲弾・APDS弾が遠距離での命中精度が低いなどの問題点は存在していた。

 ガルパン作中では前述の通りナオミが搭乗している。本編ではウサギさんチームのM3リーを撃破した他、あんこうチームのⅣ号も撃破している……が、同時にサンダースのフラッグ車も撃破されてしまった為にチームとしては敗退を余儀なくされた。

 劇場版でもそのままナオミ車として再登場。主な活躍場はM26パーシング一両の撃破、観覧車への狙撃、T28の渡る橋を破壊するなど。
 特に狙撃面での活躍が目覚ましく、遊園地で最もピンチに陥ったYO地点包囲戦ではウサギさんチームの放った観覧車を見事に打ち抜いて脱出への糸口を見つけ出した。ガルパン本編では撃破されたウサギさんチームと撃破したファイアフライだが、思わぬところで協力プレイをしていたりする。
 そして極めつけはT28重戦車の渡る橋の、丁度戦車の通る寸前を見事打ち抜いたシーンだろう。少しでもズレればT28自身に当たっていた(おそらくさすがのファイアフライでも上からではT28を撃破することは適わない)か、T28のブレーキが間に合ってしまったことを考えると、驚異的なスナイプである。
 特にこの際のダージリンとの掛け合い「17ポンド砲さん、準備はどう?」「とっくに出来てる、行くぞ」「どうぞ」の下りは必見だろう。繰り返すが、17ポンド砲がイギリス製であるという繋がりも知っているとさらに楽しむことが出来る。
 最終的には残念ながら後継機とも呼べるM26パーシングらのバミューダアタックの前に破れてしまった。


 是非、盤面で《ホタル/Firefly》を見かけたときはシャーマン・ファイアフライの勇姿を思い出してもらいたいものだ……え? 見かけない? そっかぁ。
 じゃあガルパンを見直した時にファイアフライを見た時には「そういやマジックにもファイアフライいるんだっけ」程度には思い出してもらいたい。出来ればパンプ能力を持っていることも忘れないでほしい。
...

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