自己満のダラダラ文章であることは読む前に御承知置き頂きたい。


 グリクシスデルバー、と一言に言っても実は様々なパターンがあるのは(特にグリデルを使用している人からは)広く知られていることだ。
 そんなグリクシスデルバーの中でも最もポピュラーなタイプは《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》と《陰謀団式療法/Cabal Therapy》のパッケージを取り入れたタイプだろう。
 クリーチャー11枚、スペル26枚、土地18枚まではほぼ固定枠となっているが、フリースロットの5枚の最も有名な割り振り方は《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》を2枚、《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》か《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》を1枚、《呪文貫き/Spell Pierce》、《四肢切断/Dismember》、《二股の稲妻/Forked Bolt》の中から2枚を入れたという形だ。私はこれを勝手にNoah Walker型と呼んでいる。
 なんだかんだこのタイプのグリクシスデルバーのリストは非常に美しく、完成されたものと言っても過言ではなかった。ネットでグリクシスデルバーのリストを検索してみても、このタイプから少々採用枚数が変わった程度のものが多く溢れている。まさに、グリクシスデルバーのスタンダードと呼んで差し支えないものであった。

【レガシー】グリクシスデルバー Noah Walker型

クリーチャー:14
4:《秘密を掘り下げる者+昆虫の逸脱者/Delver of Secrets+Insectile Aberration》
4:《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
3:《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》
2:《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
1:《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》

呪文:28
1:《呪文貫き/Spell Pierce》
4:《渦まく知識/Brainstorm》
4:《稲妻/Lightning Bolt》
4:《目くらまし/Daze》
4:《意志の力/Force of Will》
4:《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
2:《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
1:《二股の稲妻/Forked Bolt》
4:《思案/Ponder》

土地:18
1:《Tropical Island》
2:《Underground Sea》
3:《Volcanic Island》
4:《不毛の大地/Wasteland》
4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4:《汚染された三角州/Polluted Delta》

サイドボード:15
1:《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
2:《悪意の大梟/Baleful Strix》
2:《外科的摘出/Surgical Extraction》
2:《紅蓮破/Pyroblast》
1:《四肢切断/Dismember》
1:《暗黒破/Darkblast》
1:《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1:《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2:《苦い真理/Painful Truths》
1:《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1:《真髄の針/Pithing Needle》


 私自身も長い間このタイプからサイドを少々弄る程度のグリクシスデルバーを使用してきた。前回のBMOに参加した時も、このレシピとほぼ同一に近い物を持ち込んだ。
 BMOが終わってからも、思考停止気味にこのテンプレレシピを使い続けていった。これがいい物であると信じて疑わずに。しばらくの間、ここから大きく脱線することはなかった。

 だが、日夜大会のリストを探したり、ツイッターで「デルバー」「グリデル」「グリクシスデルバー」などで検索を掛けて(若干気持ち悪いかもしれないが、私はアーキタイプ名などでツイート検索するのは大変勉強になると考えている)様々な意見を目にしたり、他の人の意見を直接聞いたりしている内に、とある大きな違和感が拭いきれなくなっていったのだ。
 ヤンパイセラピーパッケージが環境にそぐわないのではないか? と。
 別に弱いと言っているわけではない。だが、BMOやレガシー神といった結果からも、おそらく大規模大会では(少なくとも数だけで言えば)フェアデッキが支配的になるであろうことは目に見えていた。
 そしてこのヤンパイセラピーパッケージは、少なくとも対フェアデッキに置いてこのタイプのグリクシスデルバーを使うという判断を下すほどに強力なものではないんじゃないかと疑問を抱いていた。もしかしたら私の考えは大きく間違っているのかもしれない。対フェアデッキに置いてもヤンパイセラピーは強く働いてくれると考える人も多いだろう。けれども、どうしても私は(元々ヤンパイセラピーがいまいちテンポデッキの動きにそぐわないということも含めて)この疑問を払拭することが出来なかった。

 ヤンパイセラピーの強さに(ついでに言えばデルバーデッキそのものに欠陥があると強く思い始めていたが、経験と金銭面の問題から他のデッキを選ぶ選択肢はなかった)疑問を覚えた私は、一旦テンプレから離れてみるのもいいだろうということで、《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》を4枚採用したタイプのレシピを考えることにした。
 このカードこそフェアデッキ対決を制するに相応しい。私がガルパンおじさんであるという嗜好面が働いたというのも正直小さくはない要素だったが、ヤンパイよりアンコウをプッシュしたグリクシスデルバーはとてもグッドなアイディアであると考えるようになっていった。
 SCGでDorian Finn氏が使用していたレシピは従来のアンコウ4型から《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》を廃した物であった。私は前々から《思考掃き/Thought Scour》との相性は良くても、アンコウやデルバーデッキそのもの(目くらまし、不毛の大地)との相性が悪い瞬唱の魔道士の存在には非常に懐疑的であり、これを思い切って排除していたのには好感が持てた。

【レガシー】アンコウデルバー

クリーチャー:13
4:《秘密を掘り下げる者+昆虫の逸脱者/Delver of Secrets+Insectile Aberration》
4:《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4:《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
1:《悪意の大梟/Baleful Strix》

呪文:29
4:《思考掃き/Thought Scour》
1:《四肢切断/Dismember》
4:《稲妻/Lightning Bolt》
4:《渦まく知識/Brainstorm》
3:《呪文貫き/Spell Pierce》
4:《目くらまし/Daze》
4:《意志の力/Force of Will》
1:《二股の稲妻/Forked Bolt》
4:《思案/Ponder》

土地:18
2:《Volcanic Island》
2:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2:《汚染された三角州/Polluted Delta》
2:《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4:《不毛の大地/Wasteland》
1:《Tropical Island》
3:《Underground Sea》

サイドボード:15
2:《悪意の大梟/Baleful Strix》
2:《外科的摘出/Surgical Extraction》
2:《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2:《暗黒破/Darkblast》
1:《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1:《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》
2:《思考囲い/Thoughtseize》
2:《真髄の針/Pithing Needle》
1:《冬の宝珠/Winter Orb》



 けれども一つ難点が生じた。
 難点というか、とにかくこのデッキの《思考掃き/Thought Scour》が好きになれなかったのだ。
 確かに4枚もの《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》を運用するにはドローすることが出来る《暗黒の儀式/Dark Ritual》とも言える《思考掃き/Thought Scour》を入れないわけにはいかないだろう。地味ながら、《渦まく知識/Brainstorm》との相性もある。
 だが駄目だった。正直アレルギーだったと言ってもいい。デッキにこのカードが入ると思うだけで使う気にはなれなかった。それほどまでに当時の私はこのカードを過小評価していたのだ。こんなカードをデッキに4枚も入れるとは到底考えられなかった。
 それでもなんとかこのアンコウデッキを上手く形に出来ないかと思い悩んでいたのだが、どうにもいい形が出来ない。アンコウを使うというところまではいいと思うのだが、それ以上には辿り着けなかった。

 そんな中、グリデルの相談相手に乗ってくれていたふぁてくろ氏に提案されたのは、4Cデルバーだった。

【レガシー】4Cデルバー

クリーチャー:15
4:《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4:《秘密を掘り下げる者+昆虫の逸脱者/Delver of Secrets+Insectile Aberration》
3:《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
2:《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》
2:《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》

呪文:26
3:《呪文貫き/Spell Pierce》
4:《稲妻/Lightning Bolt》
4:《渦まく知識/Brainstorm》
3:《突然の衰微/Abrupt Decay》
4:《目くらまし/Daze》
4:《意志の力/Force of Will》
4:《思案/Ponder》

土地:19
4:《不毛の大地/Wasteland》
2:《Tropical Island》
3:《Underground Sea》
2:《Volcanic Island》
4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4:《汚染された三角州/Polluted Delta》

サイドボード:15
3:《外科的摘出/Surgical Extraction》
1:《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2:《悪魔の布告/Diabolic Edict》
1:《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》
2:《思考囲い/Thoughtseize》
1:《苦い真理/Painful Truths》
1:《森の知恵/Sylvan Library》
2:《真髄の針/Pithing Needle》
2:《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》


 一番多くのデッキを見れる、と聞いて私はこの4Cデルバーについて少々考えを改めることにした。
 正直最初の頃は、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》や《突然の衰微/Abrupt Decay》はデルバーデッキの動きに合っておらず採用するのは有り得ないという考えを持っていたのだが、これはミッドレンジデッキであると説明されると不思議と納得の行く構築であると思い直したのであった。
 一度考えを改めてみれば後はすぐだった。私は即4Cデルバーを組み、実際にテストプレイを行なってこのデッキの是非を問うことにしたのであった。

 正直に言うと、とにかくマナベースに関して不安を覚えた。緑は衰微、赤は稲妻、黒はアンコウと死儀礼のみにしか使えないという中で、どうにか手札のカードを上手く使える土地を持ってこなければならないのだ。
 しかしそんな不安な土地基盤の上に成り立っているカードパワーに関しては確かなものであった。特に衰微の加入は大きく、今までのグリデルでは諦めなければならない物の処理も簡単に行えるというのは非常に気持ちが軽くなった。瞬唱もフェアデッキとの消耗戦において非常に強く、対フェアデッキを見ている私としてはおあつらえのカードだったというわけだ。デイズ、不毛との相性の悪さは相変わらずだが。
 土地基盤に対する不安は全く排除出来なかったが私の対フェアデッキに強いという要望を満たしており、このGP千葉で使うデッキはこれで決まりだろうか……もやもやしながらもそんなことを考えていたのがGP千葉三日くらい前。

 それでも一応レシピを収集する癖は辞めずに適当にグリデルのレシピを漁っていると、MOで勝っていたレシピが目に入った。
 そう、triosk氏の使う4Cデルバーである。あ、瀬畑氏のMO垢です。

【レガシー】チームアンコウ

クリーチャー:12
4:《秘密を掘り下げる者+昆虫の逸脱者/Delver of Secrets+Insectile Aberration》
4:《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4:《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》

呪文:30
4:《もみ消し/Stifle》
2:《思考掃き/Thought Scour》
4:《稲妻/Lightning Bolt》
1:《四肢切断/Dismember》
4:《渦まく知識/Brainstorm》
2:《呪文貫き/Spell Pierce》
4:《目くらまし/Daze》
1:《突然の衰微/Abrupt Decay》
4:《意志の力/Force of Will》
4:《思案/Ponder》

土地:18
1:《Tropical Island》
3:《Underground Sea》
2:《Volcanic Island》
4:《不毛の大地/Wasteland》
4:《汚染された三角州/Polluted Delta》
4:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》

サイドボード:15
1:《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》
2:《悪意の大梟/Baleful Strix》
1:《外科的摘出/Surgical Extraction》
1:《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1:《紅蓮破/Pyroblast》
1:《赤霊破/Red Elemental Blast》
1:《呪文嵌め/Spell Snare》
1:《突然の衰微/Abrupt Decay》
1:《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2:《思考囲い/Thoughtseize》
1:《真髄の針/Pithing Needle》
1:《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
1:《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》


 さらに翌日にはjsp氏がラストサン予選にてほぼ同一レシピで結果を残していたので、おそらくはデッキシェアを行なったのだろう。(そして後日その予想は当たっていたことを知る)
 このリストは私にとって画期的なものであった。私が調整中に行き詰っていた点が全て解決されていた。
 私がデルバーデッキにおける瞬唱と衰微を酷く嫌ってたのはテンポデッキのゲームプランにそぐわない故だからだった。デルバーにおいての切り札であるデイズや不毛の大地との相性が悪く、デッキパワーが高いからという理由だけで4Cを使うと決めてからも結局その点に関してだけは解消出来ていないままだった。
 しかしこのデッキは《もみ消し/Stifle》を採用することによって、テンポデッキとしての強みを最大限に引き出そうとしている。とはいえ、決して真新しいアイディアではない。むしろ、昔より使い倒されているとまで言っても過言じゃないだろう。カナスレという、古来のデッキによって。
 そう、瀬畑氏はアンコウを使って新世代のカナスレを作り上げたのである。アンコウの探査は実質スレッショルド。

 このリストに感銘を受けた私は早速このデッキを使うことに決めた。二枚に減らされたとはいえ、思考掃きへのアレルギーは依然として残ったままではあったが、これはGP本戦の中で薄れていったことを報告しておく。やっぱ君はドローできる暗黒の儀式だ。増やそうとは思わないけれどね。

 そしてこのデッキは対フェアに強いアンコウを4枚取りつつ、デルバーのテンポデッキとしての強みを最大限に活かしており、4Cほど無茶なマナベースではないということで強く気に入り、結局そのまま私はGP本戦にこのデッキを持ち込むこととなった。
 結局、やったことはプロのデッキを完コピしただけであり、Noah Walkerのテンプレをコピーしてた頃とやってることは変わらないのかもしれない。けれども、それまでの試行錯誤から得られたものはたくさんあり、ただ同じコピーデッキを使うにしてもそれまでの試行錯誤がなければこのデッキへの理解度は大きく異なっていたに違いないだろう。
 それに別に私のレガシーライフはGP千葉で終わるわけではない。今後も辞めない限りは当分続いていく。今回このデッキを使うまでに考えた数々の思考は決して無駄になることは無いだろう。

 以上が私のGP千葉までのグリデル調整記である。グダグダな文章に付き合わせてしまって申し訳ないとは思うのだが、実際調整自体が結構グダグダだったもので、ある意味仕方の無いような気がする。
 GPは終わってしまったが、私はこれからデルバーを使うにしても今のところはやはりこのタイプが一番いいものであると思う。それほどまでに私はこのデッキを気に入っている。出来ることなら、自分自身でもみ消しまで入れるという解答に辿りつきたいものであった。

 それでは今後もぐだぐだとレガシーを続けていくつもりです。エンジョイ、マジック。

コメント

アソねこ
2016年12月2日21:29

はじめまして、アソねこと申します。相互リンクさせて頂いており、記事等参考にさせてもらっています( ̄▽ ̄)ゞ

今回の記事の方、非常に読み応えがあり、何より同じデルバー使いとして共感できる箇所がいくつもありました(^^)

・グリクシスデルバーの基本型の呼称がNoah~型
→私も同じような呼び方してました(笑)いまだに定番な型だと思います。

・日夜大会リストやネットでデルバー検索~
→気持ち悪いとかまったくなかったですね!私はほぼ毎日やってますΣ(-∀-;)ネット記事は様々な意見ありますが、有益に感じる情報も多く、とても勉強になりますね。最近のデルバーリスト見て、現環境での有効な戦略、不利な構成を考えたりします。

・アンコウにガルパン嗜好が働いた~
→分かります( ^∀^)

・思考掃きアレルギー~
→私もグリデルからの変更段階で同じような感覚に悩まされました。嵌まると強いが、ある程度状況を作れていないと厳しさがあり、トップして強くはないカードですね。

・そして4Cデルバーへ~
→同じような流れで私も現在は4Cデルバーを使用しています。死ぬほど(笑)もみ消し好きなので、山吹潤さんが参考にされたリストの良さは分かります( ^∀^)

GP千葉では、トップ8には残れませんでしたが、4色での汎用性は環境の変化に対応しやすく、カードパワーの高い安定感が私は気に入っています( ̄▽ ̄)ゞ

よく見る4Cリストはもみ消しがないリストが多いですが、私は現環境での有効なカードだと感じています。

同じデルバー系として、議論等できたら嬉しいです!近々リストを載せようかと考えていますので、意見等遠慮なくお願い致します。

長文失礼しましたm(__)m
...

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